今の私は「不妊様」かもしれない
不妊治療を経験したり、妊活期間が長くなったりすると、多くの人が自分のメンタルの変化に戸惑い、世間的に言われる「不妊様」と自分を重ね合わせる事になります。
私自身も結婚して5年目、不妊治療を開始して3年目に子供を授かるまでに、心の問題に悩まされました。
この記事では、「不妊様」と言えるような精神状態に陥ってしまう理由や対処法等について、経験を元に自分の考えをまとめていきたいと思います。
私はメンタルを整えることが妊娠に直結するとは思っていません。
しかし、メンタルの障壁を取り除いて、やるべきことに集中する必要があると思っています。
なお、医学に関しても、心理に関しても、私は専門家ではありません。考えの一つであるとご理解いただければと思います。
なぜこんなにも心にダメージを負うのか
経験のある方、今まさにお子さんを望んで努力している方ならわかっていただけると思うのですが、子供を授かれないという事で、想像以上の心のダメージを負います。
試験に落ちても、恋人ができない時期があっても、こんなに辛く感じることはありませんでした。寝ても覚めても子供のことばかり考えてしまうのです。
理由①情報や周囲とのコミュニケーションで揺さぶられる
・誰と話すにも子供に関する質問に怯え、その対処を常にシミュレーション。
・そして、たいてい話しても理解されない。
・子供がいないという事を、隠すことができない
頻度が高く、常にさらされるのがこの情報や、社会との繋がりによって生まれるストレスです。
芸能人の妊娠出産ニュースは勝手に流れてくるし、SNSや年賀状での友人の発表も止めることはできないのです。
結婚したからには、天気の話題と同じくらい「子供」に関する話題は避けて通れず、会話のシミュレーション、想定問答を用意しておかなくてはなりません。時に思わぬ方向からのジャブが放たれますが、その度に想定問答が強くなるのです。
そして「結婚する≒子供を持つ」というバイアスが世界中でかかっている以上、子供がいない理由の説明責任が伴われてしまうのです。(本当おかしな話ですがね)
これは自衛もコントロールも難しく、対処は限定的です。限定的ですが、無いわけではありません。
理由②妊活・不妊治療特有のもの
・子供が欲しいのに、子供をつくる行為に至れなくなる不思議。
・年中チャンスがあるわけではない上に、リミットまである。
・努力しても、お金をつぎ込んでも、授かれる保証がない。
・努力の方向性が分かりにくく、更に結果が見えにくい。
・※白か黒かしかない
情報過多はどの分野にも言えることですが、妊活・不妊治療特有で特に辛いのが「授かれる保証がない」事と、「プロセスを評価するものが無い」事。そして「白か、黒かしかない」事です。
大抵のことなら努力で結果を出すことができたり、到達までのプロセスを可視化することができたり、見通しを立てることもできます。妊活ではそれが難しいのです。※全くできないわけではない
そして子供を「持つか」「持たないか」のどちらかしか無いのです。その他の事なら妥協案がたくさんあり、自分で自分を納得させる事ができやすいですが、子供を持つということに対する代替案はあまりありません。
このことで、多くの人は不安定になります。無理もない話です。
理由③生物としての価値を揺るがされる
・少数派になる事の絶望
これは女性も男性も同じですが、生殖の不具合は「タブー」案件のトップです。
男性に比べ女性は不具合の露呈機会が少ないのですが、その少ない露呈が「不妊」であると私は思います。
授かれない事で「女性」という根本的な部分を脅かされると考えてしまうのです。
そして、授かれないことが少数派であると感じること、そしてそれが周囲に自動的にさらされてしまうこと。それも大きなダメージになります。
少数派であることをどう例えられるか?ずーっと悩んでいたのですが、
「名前を書けば入れるといわれている大学に、何故か合格できない」とか
「アルバイトになぜか3年落とされ続けている」という感じ
が妥当かな?と思います。とにもかくにも、なぜ私が?という感じです。
どう対処していくか?
対処①情報の流入・周囲とのコミュニケーションを減らす
・年賀状はオールスルー
・会う友達、話す友達は厳選する
・妊活・不妊治療について隠さない。傷ついたらその旨は丁寧に説明する
まず、SNSのアカウントを一旦消しましょう。
[chat face=”man1″ name=”心無い人” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]不妊の人ってSNS削除しがちだよね~[/chat]
と揶揄(やゆ)されがちですし、そう思われるのが嫌で実行に移せない人もいるかもしれませんが「効果があるからみんなやっている」のです。
そして、子供ができたらまた登録したらよいのです。
「自分勝手だよね~」と思われるのは嫌ですか?
大丈夫。その時にはどう思われても良いと思われるくらい幸せですから。むしろ、今が周りの目を必要以上に気にしている状態なのだと気付けると思います。
心を穏やかにすることで、直接的ではないですが、良い結果につながると私は思います。
年賀状に関しては読まない。出さない。もし抵抗があるなら来年からの年賀状を出さない旨最後の年賀状に書いてしまうなどしても良いと思います。
「いつか子供が生まれた時には、私も年賀状出したい!」と思うなら、ウソも方便で、年末になんちゃって喪中ハガキでも送っておくのはどうでしょうか。亡くなったのが誰かを書く必要もありませんし。そこまで誰も気に掛けません。←半分冗談、半分本気
この際ですから、人間関係を断捨離しましょう!妊活、不妊治療関係なく「合わないと思う人」「話していて疲れる人」とわざわざ会ったり話したりする必要など無いのです。話していて楽な人とだけコミュニケーションをとるというのは案外大切な事です。
そしてこれは賛否が別れるところですが、私は「妊活・不妊治療をしていることを自らオープンに話してしまう」事を推奨しています。
誰かに質問されたりするたびに、情報の開示を相手の知りたいことに合わせて、都度カスタマイズしたりコントロールしようとするより、「自分の出せる情報を、自分がパッケージングした状態で提供する」方が遥かに楽だし、想定問答が楽になるのです。
マウントポジションをさっさと取って、会話をリードし楽に情報提供を終わりにするんです。もちろん、精神的に不安定である事もそれとなく織りこみます。ウソは言わないほうが良いです。強がるのもやめた方が良いと思います。
治療内容や夫婦の事等、全てを晒(さら)す必要はありません。でも、晒せる程度の情報は自分から晒してしまった方が楽になれると私は思います。
そして傷ついたら、「傷ついた」ことをこじらせる前に、感情的にならないうちに相手に伝えましょう。時間がたてばたつほど傷は深く、辛い思いは強くなってしまいます。
それに、相手の言葉が不適切な場合もあるし、こちらの受け取り方に誤りがあるかもしれません。誤解を解いてもらうだけで楽になることも、絆が深まることもあります。
[chat face=”woman1″ name=”あなた” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「そんなコミュニケーション、誰にでもできる事じゃないよ!」[/chat]
と思われるかもしれません。だから、あらかじめ人間関係は厳選しておくべきなのです。
対処②「自分の体の状態」に集中する
・メンタルの問題ではなく、体の「状態」が全てである
・科学の力も信じる(でも盲信しない)
・「今」に集中する
妊活・不妊治療に関する情報はたくさんあり、相反する内容(とまでは言えなくともどちらを取るか悩むような)の物も少なくないと思います。極論を言うと全て正しいのだと私は思います。但し、どれが自分に合うかは人によるのです。
自分の体に合うかどうかは、不具合の出方で確かめられます。自分の体が心地よく、エネルギッシュに、気持ちも前向きになれる事を目指して、自分を癒し、高めるのが妊活です。
[chat face=”woman1″ name=”一言多い人” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]「そんな精神状態(メンタル)だと妊娠できないよ~」[/chat]
という最上級の「余計なお世話」を焼いてくる人がいますが、私は逆だと思います。
体が妊娠に至らないほど弱っているからメンタルも弱く映りがちになるのです。
体が元気になって、妊娠可能で、それ以外についても調子よく、エネルギッシュになれたら気持ちも自然と明るく前向きになれるし、周りからもそう映るようになります。
[chat face=”man1″ name=”考えの至らない人” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]愛のある○○○をするのが一番だよ[/chat]
というぶん殴りたくなる事を平気で言ってくる人もいますが、科学の進歩によってその理論は30年前から緩やかに覆り続けているので、ガン無視して良いと思います。
確かに、本来持つ野性的な本能に従う事ができるなら、「排卵」の時期に発情することもできるでしょうが、現実的には難しいです。人間は「考える生き物」ですからね。妊娠を考えた時点で今はその方法はあきらめた方が良いと思います。
体さえ元気にできたら、科学の力を借りることで、きっと妊娠に到達できます。
リミットの事を思い、何をしても授からないかもしれない未来を思い、絶望する瞬間もあるかもしれません。その思いは定期的に訪れると思います。その時はじっくりその気持ちとも向き合って、思う存分涙を流して、パートナーと話しましょう。とことん考えつくしたら「今」に集中しましょう。
対処③プロセスをできるだけ可視化しよう
・自分の体の心地よさを何より大切な指標にする
[chat face=”inCollage_20210420_182040703.jpg” name=”私” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]ドラゴン桜、観ていますか?私は観ていませんが[/chat]
東大に行くのだって、どんな資格を取るのだって「現状を把握して、対策を立てて実行する」というのが鉄則です。
その時に体の状態を把握する事、実行した結果を実感する、体感するというのが何より重要になると私は思います。
漢方や、整体など、プロの力を借りる人もいると思います。信頼のおける方にアドバイスをもらったり、その通りに妊活をするのも大切だと思います。
そういった方のプロの意見も可視化できるプロセスの一つです。
しかし、一番重要なのは自分がどう感じるかを大切にし、その記録を取るなどして可視化していくことだと思います。
最終的には妊娠するか妊娠しないか、の二択です。
受精卵のグレードが良くても妊娠しないことも、良くなくても妊娠することもあります。
グレードもまた可視化できる指標の一つではありますが、それ以上に、自分の体について、自分で感じる心地よさにスポットを当て続けることの方が私は大事だと思います。
【私の体験】体の状況改善でメンタルに異変が
これは私の体験になりますが、妊活で体が整ったであろう時期から、メンタルが著しく改善したのです。
妊婦さんに出会うと、「ラッキー」だと感じるようになったのです。
マタニティマークを付けた方を見ると「次は自分じゃないか」という気持ちが自然とこみあげてくるようになりました。それ以前は、同じシチュエーションを辛く感じていたので、自分の変化に本当にびっくりしたのです。
また、妊娠する直前ですが、気にして辞めていたことや意識して続けていたことに関して、良い意味で手を抜けるようになりました。
[chat face=”woman1″ name=”” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=””]気にするの辞めたら妊娠したよ~[/chat]
という話をよく聞くかと思います。そう聞くと「何もしないのが正解?」と思うかもしれませんが、私は「妊娠できる状態になったから、自然と手を抜けるようになった」のではないかな?とも思います。
私は、頑張りたいうちは「変化の時期」だと思って、思う存分努力したらよいと思います。
体がしっかり変化したのなら、自然と前向きになって、少しさぼりたいな、と思えるようになるのではないかと思います。
まとめ
妊活に「これ」と言える正解はありません。それが希望であり、絶望でもあります。
私は子供がいることが幸せの全てではないなと、産んだからこそ思いますが、望む人にとってそれが求めている答えでないことも分かっています。
妊活、不妊治療を頑張る全ての人の心が、少しでも軽くなることを願ってこの記事をまとめました。
お子さんを望むすべての人が授かることを祈っています。
私の妊活をシリーズで書いています↓現在1~4まで
コメント